目次
100年前の大正5年(1916年)9月、大阪朝日新聞でひとつの連載が始まった。前年ヨーロッパから帰国したばかりの京都大学教授、河上肇による「貧乏物語」は、書き出しから衝撃的だった。(中略)連載は12月下旬まで続いた。翌年3月には、弘文堂書房から単行本として出版され、わずか3年間に30版を重ねるベストセラーとなった。(中略)歓迎されたのは日本国内だけではなかった。中国では初版から3年後には翻訳された。中国文学者一海知義さんの『著作集4 人間河上肇』(藤原書店)を見ると当時の評判ぶりがよくわかる。上海で本屋を開いていた内山完造は「実に小説のように売れた」と書いている。
 河上肇とマルクスの『資本論』を共訳した宮川実が毛沢東に会った際に言われたのは「『貧乏物語』でもその前の著作でも変革と憂国の精神に貫かれている。先生のよい本は中国語に翻訳し読ませねばならぬ」ということだった。周恩来も同じように愛読したという。
ご批判、ご指摘を歓迎します。 掲示板  新規投稿  してくだされば幸いです。言論封殺勢力に抗する決意新たに!
inserted by FC2 system