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韓国反日の真因
日本と韓国との関係がこれほど悪くなってくると、日本側としては 韓国がなぜこれほどに日本を叩き、ののしり、侮辱するのかを深層にまで踏み込んで探求する必要がある だろう。日本は韓国にどう対応すべきなのかという重大な課題も、まず相手の反日の深層を知ってからだろう。
韓国側の日本に対する一方的な悪意の言動は果てることがない。 2015年の日韓両国政府間での慰安婦問題の最終決着合意を破っての問題を再燃化 させての不当な日本誹謗、 1965年の日韓国交正常化での国際公約を破っての戦時中の国家総動員への補償の理不尽な要求 と、いずれも文在寅政権自体が反日の明確な意思を表示しての無法な動きだった。
韓国軍艦による日本の 自衛隊哨戒機への火器使用レーダー照射にいたっては実質上の突然の軍事攻撃 に等しい。韓国軍がともにアメリカの同盟相手である日本の航空機に対して戦闘行為に近い攻撃態勢をとることは、国際的な常識では想像もできない。
韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」
私自身の報道体験でもこの火砲使用レーダー照射が平時に行われることは異様きわまることが歴然としている。古い話だが 1970年代前半のベトナム戦争 中、私は当時の南ベトナムで米軍の軍事行動を報道していた。そのころの米軍は南ベトナムに攻撃をかけてくる北ベトナム軍の拠点を空爆していた。その際には米軍機が北ベトナム上空を飛び、北側から レーダー照射を浴びると、もうその瞬間に攻撃を受けるに等しいという判断を下してその照射の発射源にロケットやミサイルを即時に撃ち込んでいた のだ。
米軍はこの種のレーダー照射を英語で lock on と表現していた。つまりカギをかけるように攻撃目標として捕らえるという意味だった。 米軍機が lock on されれば、それはもう敵がこちらを撃つために照準を合わせたことであり、瞬時に自衛のために攻撃に移る 、ということなのだった。
だから照射を受けた自衛隊機は韓国軍からすぐに実射攻撃を受けてもおかしくなかったのだ。 韓国軍のそれほど異様な行動 だったのだ。韓国側のこのような日本に対する言動に共通するのは 日本への憎悪、悪意、敵意 である。一言にまとめれば 反日 だといえよう。日本はそれに対応すべきか。日本側の一部には 「あくまで冷静に」 とか 「丁寧な無視を」 という、結局はなにもしないことを提唱する声も強い。だが現実には韓国からすれば、 日本にはなにをしても、なにを言っても、反発はないから大丈夫だという意識が明らかに徹底している 。日本が相手ならば、どんなことをしても安心だという認識である。だから日本側への不当、無法の攻撃は果てしなく続き、さらにエスカレートしていくこととなる。
さてでは韓国の反日とはいったいなんなのだろう。なぜ反日なのだろう。
日本側では長年、韓国民が日本に悪感情を抱くのはひとえに日本の過去の行動、とくに 日韓併合による朝鮮半島の統治の歴史 が原因だとする考察が主流だった。あるいは戦後の日本側の韓国へのネガティブな言動が原因だとする考察も多かった。要するに 非は日本側にあるという認識である
Robert E Kelly准教授(右)
ところがまったく異なる見解も存在する。しかもその見解は日本側でも韓国側でもない中立の第三者が発表しているのだ。その見解は簡単にいえば、 韓国の反日感情は非は決して日本側にはない 、原因も日本側になないのだという斬新な分析である。
つまりは 「日本側の好ましくない言動が韓国側の反日を引き起こしている」という日本側の年来の考察の否定 なのである。アメリカ人の政治学者による見解だった。その見解はワシントンで大きな波紋を広げた。
2015年6月のことだった。東アジア研究専門のアメリカ人政治学者で韓国の 釜山国立大学准教授の ロバート・ケリー氏 は、「なぜ韓国は日本への脅迫観念にこれほどとりつかれているのか」と題する論文を発表した。 アメリカの政治雑誌「ナショナル・インタレスト」など数誌に載った同論文はまさに韓国の反日の本質を論じていた
ケリー論文の骨子は以下のようだった。
・韓国の反日は歴史や政治を原因とするよりも
韓国民の自己認識(identity)そして朝鮮民族としての正統性(legitimacy)
を内外に認めさせるため主張であり、
自分の自分らしさの宣言
なのだ。
・韓国は朝鮮民族としての歴史や伝統での純粋性、自主性を説いても北朝鮮にはかなわない。そのギャップを埋めるのが日本叩きなのだ。北朝鮮との正統性主張の競争での道具として反日を使っているのだ。
・韓国独自の北朝鮮に対する優位を説くには韓国側には米欧諸国や日本からの影響が多すぎる。民主主義も腐敗が多すぎる。だから
日本を悪と位置づけ、叩き続けることが自国や自国民礼賛の最有効な方法
となるのだ。
以上がケリー論文の最重要点だった。
ケリー氏の指摘が真実を指し示しているとすると、韓国の反日は日本の過去や現在の言動にかかわりなく存在するということになる。 反日はその存在自体に意義があるのだから日本が謝罪しても補償してもなにも変わらない ことにもなる。
日本の学者や政治家がこんな見解を述べたら大変なこととなろう。だが日本との特別なきずなもないアメリカ人学者が韓国に長期、住んだうえでのこうした論考ならば客観性は否定できない。韓国側も文句はいえないだろう。
韓国側の反日の原因も責任も実は日本側にはないのだとすれば、韓国の日本叩きはますます不当で理不尽ということになる。自分たちの独特の劣等感さえがからんでいるような勝手な感情だとすれば、日本側はそんな不当な感情の発露には代償を払わせる必要があるだろう。 勝手に他国、他国民を誹謗中傷して、なんの制裁も懲罰も報復も受けないというのは一般の人間社会でもあってはならない状態である 。まして理性や規則が尊重されるべき国際社会ではさらにあってはならない状況だといえる。
日本もついに行動を起こす時である。
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

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