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2003年2月2日投開票(以下同じ)の岩手県陸前高田市の市長選では、共産党所属の市議であった中里長門が自民党系会派である爽風会の支援を受け、自由党(当時、のち民主党)系で5選を目指していた現職の菅野俊吾を破り初当選を果たした。陸前高田市のある岩手県は当時は「小沢王国」と呼ばれるほど小沢一郎の影響が強く、当時小沢の所属していた自由党が強い土地柄であり、岩手3区の黄川田徹は陸前高田市が地盤だった。当時、市は「タラソテラピー施設」を計画しており、その計画の是非が争点であったが、「反小沢」という旗印のもとに自共共闘による市長の誕生として話題になった。2011年に選出された自民党市議・副市長だった戸羽太も自共共闘により選挙戦に勝利している。
2011年11月27日の大阪市長選挙 では、民主党・自民党に加え共産党から支援を受けた現職の平松邦夫と、大阪維新の会代表で、大阪府知事からの異例の転出により立候補した橋下徹による選挙戦となった。この選挙では「独裁的」と批判される橋下の政治姿勢のあり方や、『大阪市と大阪府の統合による大阪都構想』『教育基本条例案』『職員基本条例案』が争点となり、「既存政党」対「大阪維新の会」という構図となった。
この選挙戦は橋下が勝利しており、既存政党への不信が橋下の勝利につながったという分析もある。
2013年9月29日の堺市長選挙では、民主党推薦、自民党支持に加え、共産党と社民党の自主支援を受けた現職の竹山修身が、堺市の「大阪都構想」への参加を主張する大阪維新の会公認の新人候補である西林克敏を破り、自共共闘を成功させた。

2014年1月26日の岩手県花巻市長選挙では、「反小沢」により自民党・社会民主党に加え、民主党を離党した平野達男参議院議員や共産党の支援を受けた上田東一が現職の大石満雄を破り当選している。
2015年4月12日の大阪市長選挙では、大阪維新の会が公認した橋下徹の後継者の吉村洋文(元衆院議員)に対し、自民党が推薦した元大阪市議の柳本顕を日本共産党と民主党が支援したが、選挙の結果、吉村が当選、柳本は落選した。
また、大阪市長選挙と同時に行われた大阪府知事選挙でも大阪維新の会公認の現職の松井一郎に対し、自民党は元府議の栗原貴子を推薦。これに日本共産党と民主党が栗原を支援したが、選挙の結果、松井が再選、栗原は落選した。
2015年4月26日の統一地方選挙では、大阪府下の八尾市・吹田市・寝屋川市の3市長選挙において、日本共産党は反維新候補の共倒れを避けるため独自候補を擁立せず、自民党が推薦する候補を支援した。
2015年5月17日の大阪都構想の賛否を問う大阪市の住民投票では都構想を提唱した大阪維新の会(賛成)に対し、同構想に反対する自民、共産両党の他、同じく反対の民主党と住民投票には賛成した公明党も反対に加わり、投票の結果、反対が賛成を上回り都構想は否決された。
菅義偉官房長官は、2015年5月11日の記者会見で、17日に住民投票が行われる「大阪都構想」に反対する自民党大阪府連の国会議員が民主、共産両党と合同街頭演説を行ったことに関し「個人的には全く理解できない」と批判した。自民党の谷垣禎一幹事長は「(府連に)大きなシンパシーを持っている」と述べており、政府・与党内で見解の違いが浮き彫りになった。
菅氏はこれまでも「二重行政の解消」の観点から都構想に理解を示してきたが、府連を批判するのは初めて。11日の記者会見では、人口約370万人の横浜市の職員が1万9千人なのに対し、人口約270万人の大阪市の職員が約3万5千人いると指摘。「(課題解決に向け)いろんな案が出ており、都構想もその一つだ」と語った。
一方、谷垣氏は11日の記者会見で「同志が必死に戦っているのに、党本部は『知らん』と言っていていいのか」と府連に賛同。民主、共産両党との演説にも「都構想という極めて特殊な事案の問題だ」と述べ、黙認する考えを示した。
都構想に関し産経新聞社が9、10両日に大阪市民に行った電話世論調査では、自民党支持層のうち反対は53.3%、賛成は36.6%で、前回4月の調査から反対が7.9ポイント減る一方、賛成は9.6ポイント増えている。
国政で対立する自民、民主、共産3党は10日、それぞれ竹本直一府連会長、辻元清美政調会長代理、山下芳生書記局長らが大阪市の2カ所で合同街頭演説を行ったほか、公明党関係者や市民団体などとの反対集会も開いた。
安倍晋三政権の「暴走ストップ」を掲げ国政・地方選で躍進を続ける共産党の山下氏は11日、党本部で記者団に「愛する大阪市が壊されようとしているときに自民党も共産党もない。力を合わせて守るのは当たり前だ」と語り、共闘に理解を求めた。
2017年4月23日の名古屋市長選挙では、2期8年を満了し、自身が代表を務める地域政党・減税日本が推薦する河村たかしが立候補し、河村と議会運営をめぐって対立した自民・民進の市議や共産党などで構成される「革新市民の会」、社民の愛知県連が支持を表明した元副市長の岩城正光が対決する構図となった。維新の会と、反維新派である自民や共産などの主要政党とが全面的に争う大阪府下の選挙戦に比べ、河村と岩城は比較的弱い政党色で選挙に挑んだ。選挙の結果、河村が当選し、3期目を務めることになった。
2017年9月24日の堺市長選挙では、自民党・民進党・社民党・日本のこころの推薦と共産党の自主支援を受けた現職の竹山修身が、大阪維新の会公認の新人候補である永藤英機を破り三選した。
日本維新の会の松井一郎代表(53)は9月5日、大阪市内のホテルで開いた維新傘下の地域政党「大阪維新の会」のパーティーで「政権打倒と言っている共産党と自民党がタッグを組んでいる。民進党、社民党も乗った。政治家の身分を変えることに大反対の『野合談合チーム』だ」と怒りをぶちまけた。
松井氏が矛先を向けたのは、任期満了に伴う堺市長選(9月10日告示、24日投開票)の構図である。この選挙は、3選を目指す現職の竹山修身(おさみ)氏(67)と、大阪維新の会新人の元大阪府議、永藤英機氏(41)の一騎打ちとなる見通しだ。竹山氏に対しては、自民、民進、日本のこころの各党と社民党大阪府連が推薦し、共産党系市民団体が支援に回っている。公明党は自主投票とする方針を決めた。
共産党は表立って推薦こそしていないものの、関連組織をフル稼働させて竹山氏当選に向けた戦いを展開している。9月4日には小池晃書記局長(57)が堺市に乗り込み、集会で「安倍暴走政治の応援団である維新に厳しい審判を下そう」と気炎を上げた。
「応援団」どころか「張本人」である自民党と手を組んでおいて何を言っているんだ、というツッコミはさておき、この冗談のような「自共共闘」は、近年の大阪の選挙や住民投票ではお決まりの図式になりつつある。維新の地盤が強い大阪では、各党が「維新憎し」の一点で手を携えるケースが珍しくないのだ。
維新の党是である「大阪都構想」の是非が問われた平成27年5月の大阪市の住民投票の際は、自民党の柳本卓治参院議員(72)が共産党の山下芳生副委員長(57)=当時は党書記局長=らと一緒に同党の街宣車の上で演説し、山下氏らを「兄弟」とまで持ち上げた。あまりの節操のなさに、菅義偉官房長官(68)が「全く理解できない」と苦言を呈したほどだ。
同年11月の府知事・市長ダブル選では、自民党推薦候補が民主党(当時)と共産党の支援を受け、松井氏らと争った。普段は厳しく政府を批判している市民団体なども同調し、自民党推薦候補の街頭演説会で「アベ政治を許さない」のステッカーを掲げた聴衆が拍手を送るというギャグのよう光景すら見られた。
もちろん、維新が掲げる施策への批判はあって当然だ。地域の事情に沿って国政とは異なる枠組みで政党が協力することも理解できる。
竹山氏は「(大阪府と大阪市で制度案の議論が進む)都構想が実現すれば、その影響はすぐに堺市に及ぶ」と主張し、維新と対決することの意義を強調する。自民党の二階俊博幹事長(78)は、共産党を含む野党との連携について「ケース・バイ・ケースで地元の意向に沿うような形でやった」と説明している。
とはいえ、相反する理念を掲げる政党が「反維新」だけを共通項に連携する姿は、憲法やエネルギー政策に関する隔たりを棚上げにしたまま「アベ政治を許さない」の一点で結束する野党4党と全く同じに映る。
前述した府知事・市長ダブル選の際に実施した産経新聞社の出口調査によると、自民党推薦候補に投票した同党支持者の割合は知事選で50・9%、市長選で64・8%にとどまった。なりふり構わぬ共闘に対する忌避感の表れにほかならない。
「民進党は共産党と候補者を統一して戦っている。理念も政策も違うのに、おかしい。典型的な野合だ」
昨年の参院選での安倍晋三首相(62)の訴えが、ブーメランとなって自民党に突き刺さっている。
(産経新聞政治部 松本学)
2019年4月7日の大阪府知事選挙・大阪市長選挙(大阪W選)でも共産党は自民党候補の自主支援に回ったが、いずれも敗北した。維新は自共共闘を「理念なき野合」と批判。大阪自民党側はこれに慌てて「共産党とは一切関係ありません」とホームページで釈明を行ったが、共産党側はしんぶん赤旗において1面で自民党候補の写真を掲載して共闘を呼び掛けている。また大阪自民が「自共共闘?維共共闘の間違いでしょ!」と題したネット用ポスターを無断で作成して官邸を激怒させ、ホームページから削除するという騒動があった。
前大阪府知事の松井一郎氏と前大阪市長の吉村洋文氏が任期を8カ月残して辞任し、入れ替わってダブル選を打つという奇策に、当初は疑問の声が多かった。
自民党推薦候補は、公明党府本部が推薦、国民民主党府連も支持、立憲民主党府連と共産党も自主支援を打ち出した。参院選などの各党の得票を見れば、負けるわけがない。「維新包囲網」は完璧に見えた。
これに対して、維新は、与野党相乗りの構図を「理念なき野合だ」と猛批判した。特に理念も政策も相反する自民、共産両党の「自共共闘」をやり玉に挙げた。
慌てた自民党府連は「共産党とは一切の関係はありません」とホームページ(HP)で釈明したが、共産党は機関紙「しんぶん赤旗」1面に自民党推薦候補の写真を掲載して「非維新」共闘を呼びかけているだけに説得力に欠ける。
自民党府連は、安倍晋三首相(党総裁)の顔写真をあしらい、「自共共闘?維共共闘の間違いでしょ!」と呼びかけるネット用ポスターを無断作成し、官邸を激怒させた。すでにHPから削除したが、お粗末としか言いようがない。産経新聞社など各社の世論調査では、維新系候補は、自民党支持層の5割を切り崩している。
これほど野合批判が効き目があったのは、維新が掲げる大阪都構想を潰すべく、自民党府連がなりふり構わず野党共闘を繰り返してきた歴史があるからだ。
しかも維新が府・市政のかじ取りを担った8年間で、沈滞していた大阪経済は明るさを取り戻した。平成30年の大阪に来た外国人観光客は前年比32万人増の1142万人で6年連続で過去最高を更新した。6月には20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれ、2025年の万博も開かれる。
そんな成果に目をつぶり、国政で激しく対立する野党と手を組んで「打倒維新」に心血を注ぐ自民党府連の姿に保守層は飽き飽きしているのではないか。
大阪だけではない。7日の他の10道県知事選のうち福岡、島根でも自民党推薦候補が敗れた。軋(きし)みはあちこちに広がりつつある。
自民党よ、慢心を戒めよ。自民党が結党以来、政権をほぼ独占できたのは、地方の民意を汲(く)む力が秀でたからではないか。民意を汲む努力を怠れば、今年最大の「政治決戦」である夏の参院選でも惨めな結果を招くことになる。(産経新聞政治部 長嶋雅子)
長尾たかし議員の説明「党本部として了解された」
おや?産経の記事の長尾敬さんの説明との関係は、どうなんでしょうか? 
「党本部として了解された」とはどういう意味なんでしょうか?
党本部・幹事長室はネット用ポスターを容認・官邸は不知か?
おそらくですが、産経新聞も、長尾たかし議員も、嘘はついていないのでは?
官邸 」 は内閣という行政府に属する内閣総理大臣が執務をする場所を指します。場所以外にも内閣官房なども含めた機能を指して使われている用語でもあります。
他方、「 党本部 」や「 幹事長室 」は、与党の政府としての動きとは独立した、自民党という政党としての組織の名称です。
党本部の了解があった 」は、安倍総理等の官邸としての了解があったという意味ではないのでしょう。あくまで安倍総理は後から事情を知ったということが考えられます。
百田尚樹氏「安倍総理は関知していない」
そう考えると、百田尚樹氏のこの発言とも、矛盾は無いということになります。
長尾さんは百田氏のツイートについては関知してないとしていますが、上記の理解に立てば、少なくともその発言は矛盾してません。
長尾さんのおっしゃることが矛盾しないとしても、実際のところはどうだったのかは党内の誰かからの説明が欲しいところです。現時点では、長尾さんが嘘を言ってると思ってる人は多いのではないでしょうか?
それは自民党として良くないことではないでしょうか?
萩生田さん「常識の範囲でパッケージで了承」
4月18日のDHC虎ノ門ニュースにおいて、萩生田光一内閣官房副長官がこの件について語っていました。
「党本部としては、常識の範囲でパッケージで了承しており、広告の内容についていちいち箸の上げ下げまで指導することはないが、ネガティブな発信を総裁の名でするというのは自民党の矜持に照らしてまったくふさわしくない」
要するに予め伺いを立ててれば絶対に反対されていたであろう内容だったということ。
実質的に党本部が容認するような内容の広告ではなかったということです。
「党本部の了承」とは、大阪府連が選挙において自民党の看板を背負うということへの「大枠での了承」であって、一つ一つの広告の内容についての「個別の了承」ではなかったということです。
つまり、百田氏は「個別の了承」は無かったと言っており、長尾氏は「大枠での了承はあった」という意味に捉えれば、一応は嘘は言っていないことになります。
ただ、それは屁理屈の類であって、大阪府連の態度は一般的に理解されないことです。
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