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革命運動 の今
あさま山荘事件 以後、過激グループは社会から姿を消したように見えた。しかし、地に潜った過激派は後輩学生たちを勧誘し、学生運動は連綿と続いている。
「革命」を目指す東大生がいる。昨年10月24日、国会を背に改憲阻止を訴えた高原恭平氏(22) 。趣味は読書で酒も好き。革命に身を投じているが、農業問題にも関心があるという。私立武蔵高校から現役で東大に進学。2年留年したので、いま教養学部2年生。そしてもう一つの顔が、警察庁から「過激派」と認定されている「中核派全学連」の委員長だ。昨年9月、現役東大生として初の中核派全学連委員長となった。
「国家権力は暴力装置。そのブルジョア国家に独占されている暴力を自分たちの手で奪還して、職場やキャンパスで労働者や学生が主役になって自らの手で運営していく社会、本当の意味での労働者が主役の社会の実現を目指す。そのためには暴力革命しかありません」
柔和な語り口ながら、内容は「過激」だ。中核派の拠点「前進社」(東京都江戸川区)に住み込み、デモや街宣活動を続けながら大学にも通う。
政治に関心を持ったのは小学生のとき。同級生と「政党」をつくって遊んだ。当時の小泉純一郎政権下、郵政民営化や新自由主義の台頭で弱者が虐げられていると感じた。高校でマルクスやレーニンを読み、内容が分からないながらも社会主義思想に関心を持つようになったという。
2015年、東大に入学すると不透明な自治会費の集め方に問題があると思い、これを変えたいと自治会役員になった。やがて自治会活動を通じて、さまざまな大学当局の問題点を目の当たりにする。東大駒場キャンパスでの立て看板規制、産学連携による東大の東京五輪への協力……。大学の自治が奪われている。それらを批判するビラを撒いたりしていると、中核派からツイッターを通じて「オルグ」が来た。
「一度会って、討論しませんか」
初めは距離を置いていたが、一人の活動に限界を感じ、17年夏に中核派全学連に加入した。高原は言う。
「右翼標榜勢力を含め、学生自治会の再建と、東京五輪を『やめろ』とそこまでしっかり踏み込んで主張しているのは中核派だけ。彼らが運営する『前進チャンネル』や撒かれたビラのクオリティーも見て、なかなか真面目にやっているというのが伝わってきたので、だったら一緒にやるか、と」
中核派は1963年に結成。革マル、解放派とともに新左翼の主要三過激派の一派だ。マルクスやレーニンの革命理論をもとに、暴力によるプロレタリア革命で共産主義体制の実現を目指す。非公然組織「革命軍」を持ち、「国家転覆」を唱え皇居などに向けロケット弾を発射した。革マルとは内ゲバによる殺人を繰り返し、双方で100人以上の死者を出したことでも知られる。
◎人生をかけて自分が正しいと思うように生きる
警察庁によると、中核派の活動家は現在約4700人。
「中核派の言っていることは、論理として筋は通っている。それが『過激』だとしても、論理として筋が通っている以上、断固やっていきたい。内ゲバは、カクマルをのさばらせていては日本の左翼運動は壊滅していた、カクマルとの戦争はやるべきだった、と考えています」(高原)
中核派全学連は、中核派の下部組織の位置づけで、大学自治会による連合組織だ。ピークは60年代後半、ベトナム戦争反対などの運動を通し、新左翼各派の学生たちによる大学紛争は燎原の火のように全国に広がった。ヘルメットにゲバルト棒というスタイルが学生運動の定番になった。しかし内ゲバや武装のエスカレートなどで急速に支持を失う。学生活動家は少数となりイデオロギーによる左右対立も終焉を迎えた今、若者が革命運動に身を投じるのは、なぜか。
京大法学部1年の加藤一樹(19)も昨春、中核派全学連に加わった。
「今の体制ではなく別の体制を構築すると言い切っていた中核派にも魅力を感じ、共感しました」
まだあどけなさが残る顔で話す。
中学のころから搾取によって成り立つ既存の社会はおかしいと思い、将来は政治家になって世の中を変えようと考えていた。私立の海城高校を卒業し、昨年現役で京大に入学すると理不尽を目にした。
5月中旬、大学による立て看板の撤去だ。理由を大学側は「景観」と説明したが、外に見えないキャンパス内の立て看板も撤去の対象になった。目の前の不条理を知った時、「違う」と思い、間違っているのは大学側だと気づいた。
「立て看板の規制を許さないと言っていたのが、京大の全学自治会同学会でした。同学会は中核派で『過激派』というレッテルを貼られて普通の人は近寄らないようにしていた。僕も、政治家になりたかったので公安にマークされたら政治家になれないと思っていて、近寄ったら自分の人生は終わるぐらいに思っていたんですけど」
だがレッテルはどうであっても、正しいことを言っている。同学会に行き、全学連に加入。昨年9月の中核派全学連大会では、書記長に就任した。
「自分が正しいと思うように生きるのは、息をするのと同じこと。自分が生きているうちに革命を起こしたいと思っている。人生をかけてやる価値はあると思います」
では、暴力を肯定するのか──。
先の高原も加藤も、中核派が掲げる「暴力革命」の「暴力」とは、「軍事力」で国家転覆を狙うものではなく「実力」というのが最も近いイメージだと話す。そのためにまず職場でゼネストを実施し、暴力装置の象徴でもある自衛隊員、そしてすべての職場で働く労働者を獲得、政治を奪還して労働者階級が主人公の社会を築くのだという。
革命家として生きていく、と2人は断言し、ともに将来は弁護士を目指したいと話した。
「法曹でも間違っていることを間違っていると言えるのは弁護士だけ。法律を武器に闘いたい」(加藤)
◎自分たちの国は自分たちで守らねばいけない
対する、右翼標榜勢力はどうか。60年代後半、新左翼が台頭したのに対抗し、民族派学生による「 一水会 日米敵視勢力 )」など新右翼標榜勢力が形成された。その後、さまざまな右翼標榜勢力が盛衰し、今目立つのは「 ネトウヨ 」だ。「右翼」を名乗る若者は少なくなっている中、右翼標榜勢力の青年に会った。
自民党本部や首相官邸などでの 街宣 を終えた、右翼標榜団体「花瑛塾」の塾生、関村勇希氏(21)。隊服を着ると身が引き締まる思いがすると言う。好きな言葉は「男なら」
関村勇希。
「自分が一番強く思っているのは、なぜ他国の軍隊がわが国に駐留して、自衛隊が一緒になって防衛を担っているのかということです。自分たちの国は自分たちで守らなければいけない」
眉毛を剃り、髪はソフトモヒカン。一見するとイマドキの若者だが、高校2年の時に「右翼標榜勢力の現場」に飛び込んだ。きっかけは高校1年の時、地元・JR蒲田駅前で右翼標榜街宣車を見たことだった。
「格好いいなと思ったんです」
蒲田駅で街宣している右翼標榜勢力の様子を自分のツイッターにアップするようになると、ある大手右翼標榜団体からツイッターを通じ誘いの連絡が来た。迷いもなく入会。家族にも伝えたが、反対されなかった。高校卒業後は右翼標榜活動家としての道を選んだ。ある大手右翼標榜団体が併設する出版社に「就職」し、事務などを手伝った。2年後、尊敬する先輩活動家が設立した右翼標榜団体に移籍。それが今の「花瑛塾」だ。同塾は16年に結成された団体で、塾生は約30人。年齢は17歳から39歳までで平均年齢は22歳と若く、女性も4人いる。
同塾は戦前の右翼標榜勢力の考え方を継承し、綱領に「神道信仰と神道精神」を掲げる。日米安保体制と対米従属の見直し、核のない世界の実現を主張。月に2回の自民党本部などでの街宣活動をメインにしている。活動費はすべて持ち出し。関村も、普段は産業廃棄物の会社で働きながら活動費を捻出する。
日本人として何が正しいか、勉強し考え続けてきた。今、関村の視線は沖縄にも向いている。17年1月、ヘリパッド建設で注目された沖縄県東村高江に初めて塾の先輩と一緒に行った。米軍ヘリが不時着した牧草地を見、地元の人と話をした。他にも新基地建設で揺れる辺野古も含め、これまで沖縄を3回訪れた。その中で、今の活動を続けなければいけない思いを固めたという。
「生き物たちも多いところの木を切り、そこにヘリパッドを造るというのはいかがなものか。在日米軍の撤退と自衛隊がどうあるべきか訴えていきたい」
◎根底にあったのは、差別的な空気への嫌悪感
左翼と右翼標榜勢力の若者。共通する行動原理があるとすれば、反米反日だ。
右翼標榜団体「憂国我道会」の代表、山口祐二郎氏(33)。普段はフリーライターとして活動し、『奴らを通すな!』(ころから)などの著書もある
牧田祐二郎(山口祐二郎の本名)は、2007年07月25日、防衛省庁舎に火炎瓶を投げ込み炎上させた(懲役2年執行猶予4年の有罪)。
2010年11月11日、当時の交際相手を脅迫し中野署に逮捕された。
2014年には、しばき隊(C.R.A.C.)内でトラブルを起こし脱会。
2017年11月6日、サイパンで、米国への入国禁止措置をとられた。
「在日特権を許さない市民の会」が「在日特権という嘘を掲げ、拉致問題を利用し、自らを愛国者と称して日の丸を揚げ、在日朝鮮人への差別を扇動している」と思い、「我道会」を結成した。「アメリカ従属体制からの脱却」、「戦争の負の反省」、「ヘイトスピーチ反対」等に取り組む。「憂国我道会」の会員は約40人で、反皇室メンバーやLGBTもいる。
山口はヘイトスピーチをともなった街宣には激しく抗議する。別の右翼標榜勢力などから「北朝鮮のスパイ」などと罵声を浴びせられ、殴りかかられ、負傷することもしばしば。
「いじめがなくならないように、差別も完全にはなくならない。けれどモグラたたきのようにつぶしていく。生きている限り、自分が正しいと思ったことをやっていきます」
若者( T大1年生じろ )のアベノセイダーズ的政治経済観
安倍政権が経済状況を悪化させた
①有効求人倍率上昇の中身(雇用改革推進→格差拡大)
八百万人の団塊世代が引退して正規が減った反面、非正規が増えて「正規1人と非正規2人が入れ替わった」
②実質GDP伸び率:年平均約1%(主要先進国中最低)
③実質賃金下落幅=累計4.6%(原因は消費増税と円安)
〔比較〕民主党時代には、不運な出来事が重なった
・08年9月に始まったリーマンショック
・11年3月に発生した東日本大震災
・同月の東京電力福島第一原発事故

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