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~外国人の人権~ 在日韓国人
「在日韓国人に対する社会の意識が変化すべきなのか、自分たちが差別を恐れず、国籍を明らかにして堂々と振る舞うべきなのか、その間で揺れ動いている。」Oさんは、在日韓国人2世です。大分県で生まれ、日本の教育を受け、日本で育ち、日本で暮らしています。
 在日韓国人に対する偏見や差別を経験しながらも、日本的な思考も大切にしている Oさんは、お互いの立場を尊重し合うことが大切と語ります。
◦  Oさんのルーツや戦後の在日韓国人について教えてください。
 私の父は在日韓国人1世で母は2世です。1910年に日本が韓国を併合して、約200万人の韓国人が職を求めて来日しました。私の祖父もその一人で、私の父は祖父に伴い一家で日本に来ました。働くのは、賃金が安いところしかなく、飯場や炭鉱などで多くの韓国人が働きました。父親は終戦後、一度韓国に帰りましたが、韓国で職がなく、再び日本にやってきて、その時に住んだのが大分県だったんです。
 大分県に在日本大韓民国民団の支部ができたのは、1948年です。まだ在日韓国人への差別が多くあり、団結して立ち向かう必要があった頃です。在日韓国人の主な仕事は、くず鉄の回収、焼き肉店経営、消費者金融業などでした。医療や芸能等には国籍要件がないので、学力が優秀な人は医師になる人もいましたし、スポーツの世界は実力主義なので、野球選手になったり、芸能人になる人も多くいました。
◦  在日韓国人として暮らしていてどのような偏見や差別がありましたか?
 40年ほど前までは、韓国籍であると日本の企業に就職できませんでした。また、年金にも加入できない、アパートに入れない、保証人になれない、などもありました。
 韓国籍であることを隠そうとした人がほとんどでした。本国での創氏改名による日本名を引き続き日本でも名乗る人が多く、私も日本名を名乗っていましたし、今でも使っています。本名で暮らしたいけれど差別を恐れて、本名を名乗れない人も未だに大勢います。
 また、在日韓国人への特権があると主張し、ヘイトスピーチを繰り返している団体がありますが、実際に在日韓国人への特権はありません。平成28年に「ヘイトスピーチ解消法」が制定され、いくつかの自治体でヘイトデモを規制する条例もでき、表だったヘイト
デモは減ってきていますが、インターネット上での誹謗中傷は多くなっています。大分県でも数年前にヘイトデモが大分市中心部で行われたことがあります。
 ヘイトスピーチについて、日本のマスコミはほとんど取り上げないですね。欧州や北米などでは、表現の自由より、ヘイトスピーチを許さない方向であるのとは対照的だと思います。
◦  ご自分にとって転機になったことはありますか?
 小学校6年生の時、クラス担任が、「この学校には在日韓国人の人がいます。国籍が違っても仲良くしましょう。」と言ってくれたことがあります。うれしかったですね。在日韓国人は息を潜めるように、自分の国籍を隠していましたから。気持ちが楽になりました。
 また「韓流ブーム」が日本人の意識をかなり変えたと思います「韓国人がかっこいい」とか、「韓国ドラマが面白い」とか、韓国料理がブームになるなど、今までにない変化を感じました。
◦  どのようなことを社会に伝えたいですか?
 いつも、在日韓国人に対する社会の意識が変化すべきなのか、自分たちが差別を恐れず、自分たちの弱さを克服し、自ら韓国人であることを明らかにして、堂々と生活するべきなのか、その間で揺れ動いています私たち在日韓国人は、意識の上では、 8割が日本人としての感覚  なんです。だからほとんど日本人としての感覚と言ってもよいですが、韓国人としての自覚もあります。私たちの立場も理解していただき、お互いに理解し合い、尊重しあう事が大事だと思っています。
100%韓国人としての自覚をもつべきではないのでしょうか?

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