1.4枚の文書全体について:令和5年3月16日に提出した資料及びメール記録の意味
① 4枚の文書に共通する点であり、問題の本質であるところの、私の平成27年5月12日の参議院総務委員会における答弁が「礒崎元総理補佐官の影響を受けたものではない」ことを証明するため、去る3月16日に、
 平成27年5月11日に担当課が作成した答弁案に対する私の疑問に答えるために、同年5月11日深夜に「5月12日の答弁案を作成した課から大臣室に送られてきた資料」、
 平成27年5月12日の総務委員会前夜であることを立証できる「委員会前夜の私と大臣室のやり取りのメール」をプリントアウトしたものを、
 貴委員会に提出させていただきました。
② 平成27年5月12日の参議院総務委員会の答弁については、委員会前日の平成27年5月11日に初めて担当課の案を見ました。
 担当課の答弁案を見た際、「番組全体で見る」ことと「一つの番組で見る」こととの関係について、明確には理解が出来ませんでした。
 特に、「番組全体を見る中で一つの番組を見る」という従来の解釈を越えて、「番組全体を見ずに、一つの番組を見る場合がある」ように誤解を与えないのか、という点が気になりました。
 そこで、提出させていただいたメールにもある通り、「放送事業者の番組全体で考えなければならない論理的根拠」「一つの番組においても判断することがあり得ることの整理」などについて、大臣室を通じて担当課に説明を求め、資料をいただき、自ら論点を整理し、確認を致しました。
 5月11日深夜に担当課からいただいた資料を読み、「番組全体を見て判断する」という考え方や、運用面において「一つの番組においても、放送法第4条第1項2号(政治的公平)との関係において、編集上の重大な過失があったこと等について、行政指導(地上波2波)が行われたことがあること」については、放送事業者にも共有されていることが理解できましたので、この答弁案は、「従来の解釈を変えるものではない」と判断し、翌5月12日の総務委員会では、総務大臣として責任を持って答弁させていただきました。
③ 令和5年3月16日に貴委員会に提出した資料及びメール記録は、答弁前日の5月11日の夜になってから、私が担当課作成の答弁案に納得出来ず、深夜まで大臣室と担当課がやり取りをし、説明資料をいただいた上で、私が答弁案を判断した根拠となるものであり、また従来の放送法解釈を変更するものでないことをしっかりと整理した証拠にもなるものです。
④ 前年(平成26年)から礒崎元総理補佐官と総務省情報流通行政局がやり取りしていたことや、礒崎元総理補佐官の問題意識などについては、全く承知しておりませんでした。
 仮に次に記する平成27年2月13日とされる文書の時期に、私や大臣室の職員が、担当課から文中にある「補佐官からの伝言」や「番組全体で見ることと一つの番組で見ることとの関係」など放送法の政治的公平に関するレクを受け、論点整理が出来ていたら、約3カ月後の平成27年5月11日の深夜まで、上記のようなやり取りを大臣室と担当課の間で行う必要は無かったはずです。
⑤ 内容が正確ではないことに加え、4枚の文書のうち、3枚は「作成者不明」「配布先不明」であり、4枚とも「作成目的」が不明であることから、信頼に足る文書ではないと考えます。
 唯一、作成者名が記されている平成27年2月13日付の文書も「配布先」に当該レクの当事者とされる「大臣室」が入っていない上、大臣室のパソコンから情報流通行政局のフォルダは開けないことから、私も、同席したと記されている大臣室職員2名も、文書内容のチェックは不可能でした。
2.平成27年2月13日付「高市大臣レク結果(政治的公平について)」の文書について
① 私が、礒崎元総理補佐官が放送法にご関心があったこと、また総務省情報流通行政局とやり取りをしていたのかもしれないことを初めて知ったのは、小西参議院議員が当該文書をマスコミに公開された今年(令和5年)の3月2日でした。
 総務大臣在任中にも、礒崎元総理補佐官から私に対して放送法に関するお問い合わせがあったことは皆無でしたし、「礒崎元総理補佐官から大臣室に連絡があったことがあるか」について、今年3月に元大臣室の職員に確認しましたが、「一度も無い」と聞いています。
 また、平成27年5月12日の参議院総務委員会の答弁案を初めて見て、疑問点を大臣室経由で答弁案作成課に問い合わせたのは、前記の通り、委員会前日の5月11日でした。
 従って、平成27年2月の時点で、当該文書にあるような「補佐官からの伝言」(礒崎元総理補佐官と総務省情報流通行政局とのやり取り)や「平成27年5月12日の参議院総務委員会の答弁案」など、放送法の政治的公平の解釈に関するレクを受けたはずがありません。
② 私の発言として記載されている以下の部分については、私が発言するはずもない内容です。
 「放送事業者の番組全体で」みるというのはどういう考え方なのか。
 放送番組の編集に係る政治的公平の確保について、これを判断するのは誰?
 「一つの番組」についてはどう考えるのか。
 そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?どの番組も「極端」な印象。関西の朝日放送は維新一色。維新一色なのは新聞も一緒だが、大阪都構想のとりあげ方も関東と関西では大きく違う。(それでも政治的公平ではないと言えていない中)「一つの番組の極端な場合」の部分について、この答弁は苦しいのではないか?
 苦しくない答弁の形にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか。TBSとテレビ朝日よね。
 官邸には「総務大臣は準備をしておきます」と伝えてください。補佐官が総理に説明した際の総理の回答についてはきちんと情報を取ってください。総理も思いがあるでしょうから、ゴーサインが出るのではないかと思う。
③ 当該文書は、新たに国会で答弁しなくてはならない放送法第4条の解釈を巡るやり取りと解される記述です。「この答弁は苦しいのではないか」「苦しくない形の答弁にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか」などが、私の発言として記されています。
 そもそも放送法第4条はNHKにも適用されるものであり、「民放相手に…」の発言も意味不明ですし、このような答弁ぶりの打合せなど平成27年2月時点ではあり得ないことです。
 前記した通り、平成27年2月の時点で、「放送事業者の番組全体で」見ることと「一つの番組」に関する考え方など、平成27年5月12日の参議院総務委員会の答弁ぶりについて、私と大臣室職員が最初のレクを受け、その後も論点整理を重ねていたなら、委員会前日の5月11日になってから私が担当課作成の答弁案に対して疑問を持ち、深夜に至るまで大臣室と担当課の間でやり取りをする必要は無かったはずです。
④ 私の発言として、「官邸には『総務大臣は準備をしておきます』と伝えてください」との記載も、明らかに不自然です。
 私は、指示をする時には、「官邸」という曖昧な表現ではなく、相手が「総理」なのか「官房長官」なのか「副長官」なのかを明確に致します。
 そもそも当該文書に記された「補佐官からの伝言」(礒崎元総理補佐官と総務省情報流通行政局とのやり取り)なるレクは受けていませんので、平成27年5月12日の参議院総務委員会の答弁の「準備」と解される「準備をしておきます」という発言もあり得ません。
⑤ 私の発言として、特定の放送事業者名に言及して「公平な番組なんてある?どの番組も『極端』な印象」、関西の特定の放送事業者名に言及して「維新一色」とする発言が記載されています。
 しかし、当時も、現在も、報道番組を見るのは朝食時や夕食時(夕食時間はまちまちですが)くらいしかなく、報道番組の見較べはしていません(時間に余裕がある時は、専らドラマとバラエティを好んでいます)。
 平成26年9月の総務大臣就任後、同文書にある平成27年2月までの間、選挙期間も含めて自分の選挙区には殆ど入ることが出来ず(党から他選挙区の応援要請が多かったため)、関西の番組も見ていません。平成27年4月以降は、親の看病と介護のために夜間や週末に何度か奈良県と東京を往復しましたが、テレビを見るどころの状況にはありませんでした。
 平成27年5月12日の参議院総務委員会で藤川政人委員の「総務大臣は、最近の放送をご覧になって、政治的公平性が遵守されているとお考えですか」という御質問に対する答弁でも「放送番組をじっくりたくさん見る機会には恵まれておりません」と答弁している通りです。
⑥ そもそも、当該文書では15:45~16:00の15分間でレクが行われたことになっていますが、礒崎総理補佐官からの伝言を伺い、4枚の添付資料も含めて、放送法の解釈について説明を受けた上で、質疑応答を行ったとしたら、15分間では到底収らないはずだと考えております。
3.平成27年3月6日付「大臣レクの結果について安藤局長からのデブリ模様」の文書について
① 前記の通り、平成27年2月の時点で、礒崎元総理補佐官と総務省情報流通行政局とのやり取りや、平成27年5月12日の参議院総務委員会の答弁案など、放送法の政治的公平の解釈に関するレクを受けたことはないことから、私の発言とされる以下の記載は、私が発言したものではなく、平川参事官への指示ととれる記載も事実に反するものです。
 整理ペーパーと「礒崎総理補佐官からの連絡」で大臣にご説明。最初大臣は本件についてあまり記憶がなかった様子で、第一声は「本当にやるの?」。
 大臣は、最近の自民党からの要請文書やNHK籾井会長の国会審議等を見ていて慎重になっているのかもしれない。整理ペーパーを見ているうちに内容を思い出してきたようで、以下のご発言。
 これから安保法制とかやるのに大丈夫か。
 民放と全面戦争になるのではないか。
 総理が「慎重に」と仰るときはやる気がない場合もある。(前回衆院選の)要請文書のように、背後で動いている人間がいるのだろう。
 一度総理に直接話をしたい。
 →平川参事官に今井総理秘書官経由で総理とお話できる時間を確保するようその場で指示。(3月6日金曜日~3月8日日曜日の間)
② 当時の安倍総理や今井総理秘書官に電話をする時は、自分の携帯電話から発信していましたので、平川参事官に依頼をする必要はありません。
③ 「安保法制」に関する私の言及も記されていますが、総務大臣就任後初めての通常国会の最中で総務省提出予定法案への対応で精一杯の時期に、他省所管で準備中の法案の名称や内容については閣議決定時まで承知しておりませんでした。現在も、同様です。「平和安全法制」については、平成27年5月に閣議決定、平成27年9月に成立していますので、平成27年3月6日付の文書時点で私が理解できるものではありません。
4.平成27年3月9日付「高市大臣と総理の電話会談の結果」の文書について
① 私は、放送法の条文解釈について安倍元総理に電話をしたことも、説明を求められたこともございませんので、この文書にあるような電話会談は存在しません。
② 常識的に考えて、仮に法律の条文解釈について総理に説明する場合、担当職員とともに官邸を訪問し、条文や逐条解説をお見せしながら説明しなくては総理の御理解を得られるものではなく、電話で済ませるような閣僚は居ないと考えます。
③ 「高市大臣と総理の電話会談」と表題にあるにも関わらず、文書には「政治的公平に関する件で高市大臣から総理に電話(日時不明)」と記載されており、平成27年3月6日付文書にあるように総務省大臣室の参事官が総理大臣室と調整してセットした会談であれば、「日時不明」ではなく、日時は確定しているはずだと思います。
④ 総理と大臣の電話による会話内容を、誰が、どのような方法でメモにできるのか、理解不能です。
5.平成27年3月13日付「山田総理秘書官からの連絡【政治的公平の件について】」の文書について
① 私は、放送法の条文解釈について安倍元総理に電話をしたことも、説明を求められたこともございません。
② 当該文書には山田総理秘書官からの連絡として、「政治的公平に関する国会答弁の件について、高市大臣から総理か今井秘書官かに電話があったようだ」と記されていますが、私は、今井秘書官にも、放送法の条文解釈について電話をしたことはありません。
③ 総理秘書官室に居られた山田総理秘書官が総理日程を知らなかったとは考えられません。平成27年3月9日付「高市大臣と総理の電話会談の結果」という文書から4日も経過した3月13日になってから「高市大臣から総理か今井秘書官かに電話があったようだ」と出身官庁に曖昧な内容の連絡したことは不自然であり、文書内容が正確であるとは考えられません。
④ 「総理は『軽く総務委員会で答弁しておいた方がよいのではないか』という反応だったとのこと」、「本件について総理が前向きであり」という記載もありますが、私が放送法の条文解釈について安倍元総理に電話をしたことはなく、事実ではありません。
 以上、ご報告申し上げます。
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