索引
 2020年04月28日は羽鳥慎一のモーニングショーをめぐって、バタバタした一日でした。
 出演者の1人であり、今やファンからもアンチからも大きな注目を集めている玉川徹さんの発言がきっかけでした。
  テレビ朝日系「モーニングショー」(4/28)より
 この週末の東京都が発表した感染者数が低くなっていたわけですが、27日月曜に発表された日曜日分は39件でした。この数字をして、玉川氏は下記のようにコメントをしたのです。
 この39件というのは全部民間なんですって。
 民間よりも、通常は平日で言えば、行政検査の方が多いんですよ。
 行政検査が土日休みになっちゃって、結果として、民間で検査をしたものの中から、感染者が39例ということなんですね
 そうなると、これ昨日も言ったんですけど、ゴールデンウィークはどうなるんだろうと。
 ゴールデンウィーク、たぶん休みますよ。行政は。検査するところもね。
 そうすると民間だけでいく。
 民間がまだそんなに増えていないという段階だと、これこの後、ゴールデンウィークに入っていくと、こういう30とかいう数字がズーッと続いていく可能性がありますよね。
 この後さらにゴールデンウィークに入っていくと、行政の検査が休むというのが続いていくと、民間の検査だけになるので、この数字がずっと続いていく可能性がある。それで本当に大丈夫なのか?『ずっと下がってますよね。(緊急事態宣言)解除です』という話になったら大変だなと。
  テレビ朝日系「モーニングショー」(4/28)より
 しかも、ご丁寧に岡田晴恵氏もスタジオでの受けで、
 「全部民間だというのは私も聞き及んではおりますけれども、やっていないかどうかは確証が持てない」と話すと、
 玉川氏は、「行政やってないのは確認取れています。うちのスタッフが。」と答えたのです。
 羽鳥慎一さんが「この数字が民間の数字だという事が」と言うと
 岡田さんが「分かっています」と言い切ったのです。明らかに39件は民間だけの数字であり、土日は行政がやっていないと出演者3人で断言してしまったのです。(羽鳥さんは言いかけで岡田さんが喋りましたが)
  直ぐに反応した
 私は直感的に、この誤情報は世間が大騒ぎになると思いツイートを入れたのです。
 コロナで大変な時に「行政は土日だから休んでいます」「ゴールデンウィークもそうなるでしょう」と言われたら、どう思いますか?
 都知事の要請で自粛している時に、行政は「何やってる?」と私なら思います。これだと、抗議の電話も殺到するだろうし、大変になるだろうなと思ったのです。
 ちなみに、前段の玉川さんの発言が始まったのが、8時55分頃です。
 一連の展開直後に、東京都の福祉保健局に念のために、自分の認識は民間が週末は休みになっているということだったので、事実確認をしました。
 そこでツイートしたのが下記のもので9時15分でした。(若干、慌てて文字数整理していたので文章が変なところもありますが)
モーニングショー玉川氏が「土日は民間しかPCR検査を実施していない。」との発言は問題ではないか。岡田氏も同調。この発言の根拠と誰がそんな事を言ったのか明確にしてすべき。
 土日は一般的に民間の数が減る。都の健康安全研究センターは動いている。
 都職員はこれの苦情対応で時間が取られる。
スクープは打ち消せず
 しかし、ちっぽけな私のツイートでは、既に「玉川さんのスクープ」が駆け巡って、中には私のファクトベースのツイートにまで反論が入ってくる状態でした。
 実は私はこれまでYouTubeでもモーニングショーを取り上げてきました。が、私は「報道の自由」「言論の自由」はあってしかるべきだというのを基本にして、どちらに肩入れすること無く「事実」を伝えてきました。それ故に、時に「玉川さんを擁護した」と怒られ、時に「玉川さんを攻撃し過ぎだ」と双方から叩かれてきたのです。
 それは、私の狙いが「情報は伝え手によって、角度によって見え方が違う」からこそ、誰が伝えているかが大切なんだということをお伝えしたかったからです。今やこの番組の影響力は大きく、特定企業の株主総会にまで波及していたのでありました。
 
 過去の動画でも語ってきたのですが、私はテレビ朝日入社時、最初の新人研修でAD見習いをやっていたのがモーニングショーの前身となるスーパーモーニングという番組でした。ですので、この朝8時のテレ朝の番組には思い入れがあります。
 そして、都議会議員となった今、多くの方から経歴に「元テレ朝アナウンサー」はマイナスになるからやめた方がいいと指摘されても、これは外さずにやってきました。私はテレビ朝日アナウンサーとして経験を積んできたからこそ、今があると思っています。もし、この肩書を外すならば、今の私自身を自分が否定することになると考えているからです。
 今回のような、番組内でのもっともらしい言説は多くの人を刺激します。これで、抗議の電話が殺到すると、ただでさえ人員不足の都庁現場が大変になるなと危惧しました。全国放送の威力は凄く、ご意見は当然に都外からも沢山届くのです。
 見解の相違ではなく、明らかに間違いを言ったことに加えて、ただでさえ連日のコロナ対応でヘロヘロになっている職員が更に疲れ果てる姿を想像したら、上記のような基本姿勢の私でも今回ばかりは見過ごすことが出来ませんでした。
 私の予感は当たってしまい、
  『モーニングショー』玉川徹がスクープ報道?東京の感染者が39人に減ったが「実はすべて民間の数字」
 という記事が出て、これを拡散するインフルエンサーが現れました。
 室井佑月さんはこうツイートして、多くのリツイートを集め、
 上氏も同様でした。
  こういった影響力のある発信は、世の中の空気を作ります。
 実際には東京都福祉保健局は、27日のマスコミ発表の場で、検査について「行政検査がメインである」旨の説明を丁寧にしている記録もあり、明らかに玉川氏、岡田氏の話は間違いです。実際、東京都は番組宛に謝罪と訂正を求める抗議文を提出しました。ですので、番組で何かしらの対応があると思います。
  玉川発言に乗っかった人々も正しい情報修正を
 その上で、ヤフーの記事を書いた水島宏明氏や室井氏も上氏も、併せてご自身の発信の責任において誤報であったことを世間に報告すべきだと考えます。当然、SNSの世界では1人1人の情報網が異なりますので、そうやって間違って認識してしまったフォロワーに対して、間違いを正す拡散をして頂くことを求めておきます。
 いくらネットにおける情報の発信、受信が当たり前になったとは言っても、キー局の放送で語りかけることがいかに影響力のあることかが、皆さんも認識されたことだと思います。特にスマホを持っていない視聴者の方々は、それ以外の情報がないのです。もし、訂正が番組であったとしても、それを見ることが無ければ、ずっと「行政は怠慢だ」と思い続けるのでしょう。本当に恐ろしい事です。
  情報発信の難しさを感じる日々で
 最後にしますが、私はコロナが日本でも感染が確認された頃からYouTubeでの発信を続けてきました。
 それは、あくまで物の見方は一方向だけではなく、多角度から見ることが重要だということを多くの方と共有をしたかったからです。「都議会議員として仕事しろ」と多くの方に言われたものです。ポツンポツンと玉川さんの発言や報道ステーションの富川さんの話もしてきましたから、なおさら、そう感じている方は多かったかもしれません。
 しかし、これも全て、私達が立ち向かっているコロナという敵に対しては、必要な情報だと思い、SNSを通じて発信してきました。
 岡田さんや玉川さんが議員会館で取材をしていたのもよく知っています。でも、その情報を咀嚼して、他の角度の情報と突合してテレビで語っているのなら、良いのですが、どうもそうではなさそうだと言う視点で番組を見てきたのですが、さすがに今回は「やっちゃった」感が強かったのです。
東京都議会議員 川松真一朗

2020年5月5日
「モーニングショー」(テレビ朝日系)でコメンテーターを務める玉川徹氏。新型コロナウイルス感染拡大後は、下記のような発言が各方面から批判されている。
・もっともっと新型コロナウイルス感染死者は多いかもしれない
 『モーニングショー』が葬儀社の声として、「肺炎で亡くなった患者も新型コロナウイルスで死亡した人と同様すぐに火葬している」などと紹介する。これを見た玉川氏は「今まで日本は新型コロナの死者数が少なくて、『日本は優れた特徴があるんじゃないか』っていうようなことをいう人が結構いたけど、調べてない。調べてない以上、分からない」「もっともっと死者は多いかもしれない」などと話し、「肺炎として死亡した患者の中に新型コロナウイルス感染者がいるのではないか」という見方示す。
 この放送には賛否両論あったが、後にTwitter上で葬儀社社長を名乗る男性が「葬儀社の勝手な判断で24時間以内に火葬することはできない」「テレビで誤解を広めるのはデマを広げるから止めてほしい」と批判した。
 真相は現在のところ不明で、この後葬儀社社長を名乗る男性の発言について、番組も玉川氏も表立った反論を見せていない。
・PCR検査を「さっさとやれ」
 新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にあった2月末、高熱を出した妊婦の女性が「感染者との濃厚接触がない」として検査機関に断られたニュースを紹介。そして、厚生労働省担当者が「医師の判断で検査を要請した時に、保健所が検査を断るというのは無しだ。運用を改善する必要がある」と他人事のように話したと取り上げた。
 これを見た玉川氏は「さっさとやれ」「見ているなら早くやれ」などと激怒する。しかし、3月の放送ではPCR検査について、「やらなければいけないことは決まっていて、医療崩壊を起こさないことが一番大事。PCR検査をした方がいいとかしない方がいいとか、そんな話は終わった話だと思っています」とPCR検査の「絞り込み」について賛同するような発言をしていた。
 この件について、細野豪志衆議院議員が自身のTwitterで、「コメンテーターの発言は責任を問われない」「玉川氏は3.11後、宮城と岩手の瓦礫の広域処理に徹底的に反対した。あの発言も撤回はされていない。平時はいい。危機管理における発言だけは影響が大きすぎる」と、糾弾した。
 玉川氏については、同じ系列の朝日新聞社会部記者も、「コロナ報道におけるテレビ朝日・玉川徹コメンテーターへの疑問」と題した記事内を投稿。「出演者個人の問題ではなく、多くの人々の生命に関わる感染症について専門外のコメンテーターが論じること自体の限界があぶり出された」と、玉川氏が新型コロナウイルス関連の発言が変遷していることに触れ、「視聴者が求めているのは知識に基づいた確かな助言」が求められると苦言を呈している。
 PCR検査については、土日の検査は民間のみで行っていると事実と異なる発言をし、番組内で謝罪。全責任は自らにあるとして深々と頭を下げたところを見ると、キツいお灸をすえられたのだろう。
 玉川氏の炎上発言で、視聴率は好調の『モーニングショー』。玉川氏のコメントを楽しみにしている人も多いが、緊急事態で確証の取れていない発言を、影響力の強い公共の電波で発信することについて、身内からも批判されている状況。番組と玉川氏はこのような批判をどう受け止めているのだろうか。
 皆さん、お家にいますか?
 私もなるだけ自宅にいようと思っているのですが、最近はやれ「町内会で独居老人の方がコロナ感染の疑いで困ってる」だ、近所でコロナ陽性判定が出たけど受け入れ先がないので自宅で静養中にアホがクレームを付けに行って騒いでいるだ、さまざまなことが起きては呼び出されます。
 幸い、確定したコロナ感染者数は減ってきているようですが、緊急事態宣言は5月末まで延期になりそうな雰囲気で、結果として家にいる時間が増えた分、パソコンやテレビの前に座っている時間は増えました。
 で、テレビ観てるとワイドショーその他、コロナウイルス一色なんですけどトンデモな論調も多数出てきているんですよね。週刊文春(3月26日号、4月2日号)でも丁寧に批判された岡田晴恵さんがまだテレビに出てるんですよ。いや、この人は医師でもないし公衆衛生の専門家としても疑問視されていて、 一番テレビに出したらアカン人 の一人じゃないですか。
 そうかと思えば、モーニングショーに登場していた玉川徹さんが「減少した感染者はすべて民間検査のみの数字」と誤報を流し、さらにヤフーニュースで水島宏明さんが「スクープ?」と垂れ流したため、意図せずフェイクニュースが大量に拡散されてしまいました。その後、東京都からの抗議が番組側にあってテレビ局が謝罪、持ち上げた水島さんも訂正記事を書いておりましたが、こんなの電話一本入れれば分かる話なのに、コタツで済ませる衝撃的な記事を仕上げようとするから騒動になるのではないでしょうか。
 よく考えたら、いま医療現場や感染症対策の前線に従事されている人は、医師から看護師ら医療関係者総出でてんてこ舞いで大変な状態になっているんですよ。こんなときに、のんびりテレビに出て状況解説をしている人は「現場に出ていない自称専門家」である可能性もまたあるわけで、テレビ局も視聴者のニーズに合わせて番組内容にそった喋れる人を出演させなければならないわけですから大変なんだろうなと。
 思い返せば、東京都知事・小池百合子さんが豊洲市場移転問題で騒いだり、五輪メインスタジアムが問題になったとき、建築エコノミストを自称する森山高至さんがテレビや雑誌に出てきて無責任な言説を垂れ流し、小池百合子さん以下各関係者が大混乱に陥って数千億円の血税や都税が無駄になったことが鮮明に思い出されます。みんな忙しくて大変な時期に過激なことを言う自称専門家は、忙しくもなく大変でないから長時間拘束されるテレビに出ていられるのですよ。
 だから、過激なことを無責任な立場から論じてくれる人をテレビが好むのは、ある種の不安を煽るというか、逆に「視聴者が不安になりたがっている」感情を満たすところもあるんじゃないかと思うんですよね。
 先日も、東京新聞1面に、久住英二さんや上昌広さんが関連するナビタスクリニックが「自分のクリニックへコロナウイルス抗体検査を受けに来た200人のうち5.9%が陽性でした」という記事を掲載。それ、ランダムサンプリングではなく、患者の背景調整もされず、対照群もなしに「ほら、コロナウイルスはもうこんなに感染が広がっているんですよ」と危険を煽るだけの結果になるのではないかと心配になるんですよね。
 しかも、これらはナビタスクリニックが有償の電話相談や1回5,500円の抗体検査をやるという、ちょっと法外な価格のビジネスでやっているものです。東京都1,300万人という母集団のうちの、有料でもコロナ検査を受けたいという200人だけを見て、「東京都民全体もこういう感染状態だ」とは言えないでしょう。
 久住さんも上さんも、テレビに出て「コロナウイルスの蔓延している状況を知るためにも検査をやるべきだ」と喧伝してるんです。テレビからすれば、不安を煽って視聴率が取れる、ナビタスクリニックは不安でしょうがない患者からの連絡が来るというWINWINが成立しているんでしょうか。
【緊急特報】コロナウイルスで「キッズライン」や「ナビタス」など微妙業者が「便乗商法」花盛り問題】 | BEST T!MESコラム
 そして、テレビ局の側もスポンサーがコロナショックでテレビ広告の出稿を減らす流れが強まると、途端に内容がしょぼくなり始めました。もちろん、コロナショックが出て、テレビ局も制作陣含めて「3密・集近閉対策」のために混雑したスタジオでの収録ができなくなっているので仕方がない側面もあるのでしょう。
 そりゃあ良質なコンテンツがいつでも見られるAmazon Prime VideosやNETFLIXに人が流れたり、しっかりニュースが観たい人はNHKやCNN、BBC、FOX、CNBCあたりをヘビーローテーションするのも仕方がないと言えます。
 さらに、一足先にネットでも広告が一気に入らなくなりました。一部のニュースサイトでは広告単価がどかんと下がり、また、最悪だと広告そのものが掲載されなくなってしまいました。いやー、すっかり春なのに、業界が冬本番になってきましたね。質の低いところが立ち行かなくなり、読み手をきちんと集めている先がしっかりと収益を確保するという不況ならではの適者生存な経済環境になってきました。
 何しろ、イベントは軒並み中止になり、人の出入りもなくなりましたので、取り上げられる話題が結局コロナ中心にならざるを得ないんですよ。そうなれば、誰が何を言ったとか、芸能マスコミ的なものは人を集められてもカネにはならないという流れはどんどん強くなっていく。これはもう仕方のないことだと思うんですよね。素人の芸能人が、コロナウイルスの事件について感想を述べて尺を埋める番組の、どの辺に価値があると思いますか。
 私が長年愛読してきた夕刊紙2紙や大手新聞社系列のスポーツ紙も、駅売り、コンビニ売りがコロナの影響で壊滅的な状況になり、広告収入も減少して文字通りの危機に直面してしまっております。変なゴシップ記事や特定の政党に結びついたリーク記事もたくさんあるけれど、良質な問題提起や考えさせる取材記事を書ける優れた記者さんたちがいても、厳しいのですよ。これもう、我慢して事業を続けていても無理だと思うんですよね。取材しようにも街に出られないし、そもそも野球をはじめ各種スポーツも開催されていないから話題にしようがない。そして読者がみんないま現在自宅にいてそれどころではない。
スポーツ紙・夕刊紙の干上がり方がキツ過ぎるという話。
 つまりは、媒体の強さというのは読み手の強さであり、告知モノも話題の記事も、ある種のリアル動員やリアル購買と結びついて初めて「媒体の価値」だったんですよ。製品発表会で芸能人が雇われて宣伝の片棒を担いで、それを芸能マスコミがニコパチの短い記事を書き、それをヤフーニュースに掲載させて商品を買わせるという世の中のカラクリ。
 こういう情報そのものが、実際には不要不急で価値がなかったということが、コロナウイルスのお陰で明らかになっちゃったんだと思うんですよね。無料で記事を読んでもらって、そこに広告を貼って儲けるには、多くの人たちに読まれなければならないということで、煽動的に話題を作り上げて、ニュースとして世の中に送り出すことで成立していたテレビやネットが、結果的にクオリティの低さ故に「人は集まるけど広告は踏まれず、商品も売れない」という、誰もが想像していたジレンマに陥るのです。
 世の中全体がこれから未曾有の不景気に陥っていくところで、ただマスコミやネット関連だけが健全であるはずもなく、駄目なところが死に、イケてるところがより強くなっていくだけのことなのかもしれません。新聞社もネットニュース媒体も、質の高い記事を書ける記者こそが宝なのだ、と思い返しながら嵐の時代を乗り切る工夫をしていく以外ないのだろうと思います。
 読まれてナンボ、PV数を稼げる書き方を心掛けつつも、そこに質を伴わせる努力をしっかり払える媒体と書き手とが、コロナウイルス禍を超えて生き残るのだ、と信じながら。
 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらぬ中、感染症の専門家としてワイドショーに連日出演し、一躍時の人となった岡田晴恵・白鷗大教授(57)。その岡田氏が、国立感染症研究所の研究員時代に執筆した論文に「データ捏造」の疑いがあり、当時の感染研所長から論文の取り下げを要求する文書を出されていたことが「週刊文春」の取材で分かった。
 文書の日付は2002年5月17日。差出人は当時の国立感染症研究所所長・吉倉廣氏で、宛先は岡田氏の上司にあたるウイルス第三部部長の田代眞人氏だ。共有先に岡田氏の名前もある。
 感染研の元同僚は「週刊文春」の取材に対して、次のように証言した。
「文書が問題にしたのは、岡田氏が2001年1月に発表したはしかの細胞性免疫に関する論文の元データ。はしかにかかると、免疫が一時的に下がりますが、論文ではその実験データがあまりにきれいすぎた。明らかに人為的だと、改ざん疑惑が浮上したのです」
 事態を重く見た吉倉所長は検証を進め、田代部長を通じて岡田氏に元データを出すように再三要請した。
問題となった“岡田論文”の一部
「しかし、田代さんも岡田さんも無視したため、所長は文書を出したのです」
 文書は次のような文言が並ぶ。
〈前の依頼文でも述べましたが、論文が患者からの臨床データと分画された細胞の数、サイトカイン量の測定に基づく事を考えると直ちに提出が可能なものです。そのような性質のものであるにも関わらず提示出来ないと云う事は、データがそもそも無い(つまり捏造されている)か、著しく歪められて発表されたか、何れかであると判断せざるを得ない状況です〉
 つまり、データの捏造を岡田氏は犯していると、研究所のトップが指摘しているのだ。
 さらに、
〈研究所所長の権限は、岡田研究員が元データの提示をし得なかった事の確認迄、と判断致しますので、これ以上の事は致しません。(中略)後は、岡田研究員当人の研究者としての良心に任せるのみであろうと思います〉
〈所外の共同研究者に事の次第を説明し、論文の取り下げ位はすべきであろうと思います〉と要求している。
さらに、〈岡田研究員に関しお願いがあります〉として、
〈このような研究員が研究所外の病院、地方研究所との共同研究の窓口にすることも止めて頂きたい〉とも書かれてあった。
 結局、論文は取り下げられないまま、岡田氏は2009年に感染研を辞めている。
 テレビ局のハイヤーで帰宅した岡田氏に話を聞こうとしたが、車内に籠城。家族が家から出てきたので、記者が名刺を渡し、取材を依頼したが、岡田氏は取材拒否を貫いた。
 田代氏は電話取材に応じ、「論文は問題ない」と主張した。
 吉倉元所長は、「週刊文春」の取材に対し、妻を通じて「確かにこの文書は自分が書いた」と回答した。
 その後、白鷗大に質問状を送り、岡田氏にもメールで詳細な事実確認を行ったが、締め切りまでに返答はなかった。
 医療ジャーナリストの鳥集徹氏は、こう語る。
「科学研究ではデータの捏造は絶対に許されません。研究結果の正しさを証明する元データの提出を無視したことは、研究倫理にもとる行為。このような人をテレビに出し続けるのは問題です」
 当時の研究所トップが研究データの捏造を指摘していたことが明らかになったことで、科学者として岡田教授の説明責任が求められることになりそうだ。
ご批判、ご指摘を歓迎します。 掲示板  新規投稿  してくだされば幸いです。言論封殺勢力に抗する決意新たに!
inserted by FC2 system