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佐賀新聞の「押し紙」を認定 元販売店主が勝訴、賠償金1070万円 佐賀地裁判決 2020年05月15日
 新聞販売店の元店主が、配達に必要な部数を大きく超える仕入れを強制される「押し紙」被害にあったとして、佐賀新聞に約1億1500万円を求めていた裁判の判決が5月15日、佐賀地裁であった。
 達野ゆき裁判長は、佐賀新聞に優越的な地位を利用して、新聞の仕入れを強制させる独占禁止法違反(押し紙)があったことを認め、約1070万円の支払いを命じた。 押し紙を認める判決はめずらしい
 訴えていたのは、吉野ヶ里販売店の元店主・寺崎昭博さん。同販売店は本来2500部弱あれば済むところ、最大で500部を超える新聞を余分に仕入れていた。
・「販売店の経済的利益を犠牲にして、売上げを増加」
 判決は、佐賀新聞が2009年~2016年にかけて、各販売店に確認することなく、計約1万千部の供給をやめたにもかかわらず、配送に支障がなかったことなどに着目。
 販売店に、配達されることがない大量の「残紙」があることを認識しながら、時流に逆行するような営業目標を指示したなどとして、押し紙を認定した。
「被告(佐賀新聞)の原告(販売店)に対する新聞の供給行為には、独禁法違反(押し紙)があったと認められる」
「販売店の経済的利益を犠牲にして、自身の売上げを増加させるとともに、ABC部数を増加させることによって広告収入を増加させることを意図したものと認められる。これは、社会通念上許容されない行為であり、原告(販売店)の権利を侵害するものであるから、不法行為に該当する」
 請求の1割程度となった賠償金については、原告の販売店側は、2016年7月の提訴時を消滅時効の起点として、店を継いだ2009年4月からの押し紙代を請求していたが、裁判所は提訴時から過去3年分に限定した。
 さらに、押し紙分で得た「折り込み広告料」(約1130万円)や新聞社からの「補助金」(実際には0円だった)が損益相殺の対象になるとも判断している。
 また、原告販売店の廃業は、両親がつくった3千万円の負債によるところが大きく、押し紙が経営を圧迫するほど大量だったと認めるに足る根拠はないなどとして、逸失利益や慰謝料は認めなかった。
・「実配数とその2%程度の予備紙以外は押し紙」 判決を受け、販売店側の弁護団は以下のような談話を発表した。
「新聞販売店経営に必要な部数は実配数とその2%程度の予備紙で足り、それを超える部数は独禁法の定める押し紙であり違法であるとの判断を示した点は、裁判所が独禁法の押し紙の公権的解釈規準を示したもので高く評価されます」
・佐賀新聞「控訴する」 佐賀新聞は取材に対し、控訴する方針であると明かした。
「判決には事実誤認がある。一部とはいえ、損害賠償が認められたのは遺憾であり、容認できない。判決内容を精査し、控訴する」

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